KAORISSIMA by メッセージを伝えるアクセサリー

by KAORI OSANAI

三宿のハンコ屋の話

よーし、あの話を書くぞーw(って、むかし書いたんじゃないのかなあ?ま、いっか)

 

世田谷は三宿というところに、おかしなハンコ屋がある、と聞いたのは20代も半ばのころだった。要するに「印相見」というやつだ。

教えてくれたのはあーちゃんという中学からの友達で、とにかくそこで作られるハンコは奇妙だが、開運するらしいよ、ていうことでたびたびその話を聞かされた。

当時わたしは、そーゆーものにはまるで関心がなく(たぶん今もないに近い)、「ふ〜ん」だったし、誰々が作ったんだって!ということを聞けば

「そんで、実際、どう開運したわけ?」としれっと思ってしまうようなお人柄。

 

月日は流れ、中央区勝どきというところに一人暮らしをしていた時、そのあーちゃんが来て、家業のハンコを作ってもらった!という話をしていった。

彼女のうちは商売をやっており、お金は入って来るけれど、なぜか出て行く(とどまらない)ということで、現在使用中のハンコ一式を持って行き見せると、お父様の実印を見るや、過去に遭った火災の話やご商売の現状、今後の成り行き、、、などをスラスラと言い当てた、とのこと。

ちなみにあーちゃんは独身で、まずそのことを咎められた。「女の仕事は結婚して子供を産むことが第一で・・・」という感じで。

その時もわたしはまた「ふ〜ん」だったわけだが、それからほどなくして会社を辞めて転職活動をしなくちゃなー的な時に、父に2度目の癌が発覚して、ちょっとなんだかなーという状況になった。

父の見舞いに行く以外は時間があるわけなので、ふと閃いて、どうせ転職するならハンコも作り直したろか!と思ったのだ(ろうと思う)。

 

そのハンコ屋の予約は厄介で、お昼きっかり12:00になったら電話する。しかしそれは懐かしの「チケットぴあ」並みにつながらないのでリダイヤルボタンを押しまくるわけだが、すぐにアホくさくなり初日はやめた。

厄介だというのは、仮に本日電話が繋がったら、行くのは翌日、というシステムだ。こちらから日時の指定などはできない、ということはあーちゃんから聞いていた。

ま、しかし基本ヒマなので、翌日12:00過ぎに思い出して電話したら、あっけないほど簡単にオバハンが出た。「はい、2時!」とかそんな感じで、「明日」とも言われず瞬殺された気分だった。

で、わたしはやたらハンコを持っている。

おじいちゃんが作ってくれた象牙の実印クラスが3本ぐらい(なんでだよ)、銀行なんかのあれが数本、あと会社とかなんとかで必要で、その辺の本屋とかで買った間に合わせの三文判なんかもごろごろあった。

わたしはだらしないからすぐなくすし、なくしたものを探すよりは買っちまえ!だし、買ったら「なんだそんなとこにあったのか」というわけで溜まりに溜まるわけだが、合計20本ぐらいのハンコを抱えて持っていくと即座に

「あんたはだらしない!」と怒られた。

図星だし、むしろ「なんでわかったんですかWWWWWWW」と言ったら「こんなにしょーもないハンコを持ってるヤツなんかいない!管理もできないしズボラ過ぎる!」とにべもなく怒られ続けた。

 

だいたいその店は小さな小さな店で、行くと店前に行列ができているわけだが、戸口が開けっ放しなので、「今現在の相談者」の話も、それに対するおっさんの回答もすべて筒抜けだ。プライバシーもへったくれもありゃしない。

男の人たちはたいてい「借金が」とか「事業が」とかの仕事・経済系の相談が多いように聞こえたが、たいていの場合おっさんは男たちを励まして帰らせていた。

女の人に対しては、必ず「女の仕事は子供を産むことで・・・」とやっていて、細木数子かよ、と思ったが、それがなんども聞こえてくるもんだから、わたしはいい加減うんざりしていたし、逆に、それ言われるんだな、と心構えもできていた。

女の人たちにはひとしきり、その「女の仕事は」説を解いた後、このハンコを持ってりゃうまいこといくから!というような、やはり励まし系で送り出していた。

 

なのに、なのにだ。

わたしはまず、だらしない件で怒られ、次に首を何度も捻られた。

ハンコをしょーもないものとそうでないものに仕分けられ(ただし区分は金額的価値とは違っていたように思う)、黙って首を捻り続けしばしの沈黙の後、

「おかしい。あんたは訳がわからない。見えない」と言われた。

「は、、はあ、、、あの、、何が、、、見えないのでs」(遮って)「あんたの生まれ、ルーツはどこだ!」という話になった。

生まれは鎌倉だというと「そこは関係ない。もっと遠いところだ」となり、父方は北海道で、と言っても「それも違う」と言い、

また怒り口調で「大体お前は今まで何をしてきたんだ!ろくなことをやってきてない。いろんな男と付き合うが結婚もしない!最悪だ!」と言う。

そんなこと言われたって、誰とも結婚したいと思わなかったんだから仕方ないじゃん!やだなと思って結婚すりゃよかったんですか。

とわたしは言った。

が、基本おっさんはわたしの話などは聞いていない。ハンコを見つめては首を捻り続け、

「あんたの先祖に、なんかとんでもなく位の高い人がいるな」と言う。

はあ、、、、、クライの高いの、、、、

いやいやそんなのいないですよ。確かにジイさんは上場企業の社長だったけど、クライってもんでもないですよね。

「違う。そんなちっぽけなものじゃないんだ、もっと、、高貴な」と言う。

そこでピンときて、

そーいやー、父方の祖母の家は奈良の十津川村の出で、その昔は吉野で匿われた南朝の天皇の世話をしていたとかなんとか、だったら聞いたことありますけど、なんのことだかわかりません。それですか?

「・・・・・・ダメだ!わからん!とにかく、あんたにはその高貴な存在がついていて、あんたがつまらん男のところに行かないよう見張っている。結婚したくなかったと言っただろう、それはそういうことだ。まあ、まず無理だな。普通のやつでは無理なんだ」。

え!

じゃあ、ダメじゃないですか!そんならそもそも!そんなのが見張ってたらずっとダメってことじゃないですか。しかも、それならわたしが悪いわけじゃないじゃないですか、おじさん怒ったけど〜。

「とにかく、あんたはわからん。おしまいだ」

 

え!ハンコは?

「ハンコはダメだ。あんたに作るハンコはない。もし、結婚したら、その人の姓で、離れないようにハンコを作ることはできる」

え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!まず無理で、でも結婚するってことですか?

「知らん。あんたはいつか鎌倉に帰る。実家に帰って、その土地の主になる。はい、次の人!」

 

てな具合に、ほぼ怒られ続けて、しまいにゃ追い出された。

わたしはただただ、

 

ポカン

 

だった。

 

その後、家に行った時、家族にその顛末を話したら、母は露骨に嫌な顔をしたが、不思議なことに父が

「俺もどっかで同じこと言われたことある。「印相見」っていうんだよ、そういうやつのこと。結構いるもんなんだな」

と行って、言われた「高貴な存在」ではなく、印相見という職業についてチラッと語って、話はおしまいになった。

 

それも父が帰天してすべてが片付いた今にして思えば、「!!!!」という話なのだが、当時はポカンで終わり、

そして割とすぐ忘れた。

何年も経って、超変わり者のDNと結婚したけど、ハンコを作ろうなどという気は1ミリも思い出さず、そしてやっぱり離婚した。

 

 

最近、実家に頻繁に行くようになり、土地建物という空間をマリアグリッドで整え、でも放っておくと庭が荒れることが我慢ならない。庭が荒れると母の「何か」に影響が出る。そして、わたしが手を入れることで確実に「何か」に良く作用していることをつらつらと実感している。

それで、わたしの中になんとなく

「この家(土地)はもしかして、わたしがいないといけないんじゃないか・・・・」という妙な感覚が生まれてきて、その時、あのハンコ屋のオヤジの言葉

「あんたはその土地の主になる!」がすごいリアリティをもって蘇ってきた。

ひーーーーーーーー!

 

・・・と思ったそのタイミングで、カシ丸さんが三宿のハンコ屋の記事をアップしていて、

https://ameblo.jp/dragonlady2006/entry-12606485223.html

2度ひーーーーーーーーーーー!と思ったのだ。

だからこの記事を書いた、というわけだ。

 

それでもまだ「ポカン」ではある。

 

 

 

読んでくれてありがとう!

 

またね!

 

 

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