既知外の皆さま
江ノ電長谷駅ホームには木製のベンチがあるのだけど、その隅っこに、俺は発見した!
スズメガさん。
この方ね。
やっぱねー、ほんとスズメに配色が似てるわ、、、、としみじみ観察して、写真撮ろうかと思ったところにオバハン軍団が来てしまったから諦めたのよ。
電車が到着して、乗ろうかという時に、眼鏡をかけたちっちゃな女の子(たぶん小学校の低学年)が登場して、スズメガを一瞥するなり
「まだいる、、、、」とつぶやいた。それが、呆れたような、蛾に話しかけてるような、なんとも言えないトーンだったから、
お、この子も虫愛づる姫君だなとわかったんだけど、そーやって誰に言うでもなく声に出す子って、わたし、なんか好きだ。
「ずーっといるんだよ」と言う。
へーどれぐらい?
「10日ぐらいかな」
じゃ、動かないんだね、死んじゃったのかな、かわいそうだね。
で、一緒に電車に乗りこんだわけだが、
彼女は独自の世界を持っていて、ドアのガラスにおでこをつけては、熱で曇ったガラスを指で拭き、時々わけわからない「音」を発したりしていた。ポリフォニックみたいなやつ。
わたしと同じ、爪を噛む子の指だった。
そうだ、この子はミニミニ時代のわたしみたいだ。
彼女のことが結構気に入ってしまって興味津々だったが、彼女もわたしに何かを見出してくれたらしく、友達みたいに話しかけてくる。
わたしのしていたネックレスに関心を示してくれ、「これなあに?」などと聞いてくる。てか、長谷駅を出て3分の間に、すでに相当なじんでいる。
アクリル樹脂で出来たネックレスだよ。
「中に入ってるのは貝?」
貝に見えるように作られたプラスチックだと思うよ。
「へ〜」
関心持ってくれて嬉しいよ。
「きれいだな〜と思って」
わたしには子供がいないし、子供に対してどういう言葉遣いで喋ったらいいのかわかんないから、いつもフツーに、その辺の人と話す調子でしか喋んない。
子供だって子供扱いされたくないだろう。実際この子はちっちゃいけれど、子供らしくない子供だと思った。いい意味で。
「こないだ転んで膝を擦りむいたんだけど、まだ跡が残ってる」
と言って膝小僧を出して見せてくれたんだけど、
よく転ぶと聞いた瞬間、ちょー納得できた。
わたしも、とにかくよく転ぶ子だった。膝はいっつもカサブタだったw
あまりにしょっちゅう転ぶから、親が心配して、そーいやいくつか病院に連れてかれたけど、なんもわからない。
今となってはわかる。
要するに、地面と離れてるんだよw 上からのエネルギー優勢すぎるんだよ。
この子もそうなんだな〜〜〜と思ったら、なんだかめちゃくちゃ愛おしく思えて、
この子が自分ちの子だったら、、、、(連れて帰っても、問題なく生活しそう)
とさえ思ったw
ま、いつも子供のことは微笑ましく見てるけど、そんな風に思ったことは一度もないから、我ながらウケた。
電車を降りたら、
「いいもの見せてあげる」と言って、デジタルの観光案内板まで連れて行かれ、「大仏を押してみて!」と言われたw
何度か押してみたけどタッチパネル反応せず、種明かししてよと言ったら
「いつもは大仏がピカーっとなる」とのことだったw
知らないオバハンとそんなことしてるこの子もこの子だが、それに付き合ってる俺も俺だよと内心ヒクヒクしていたが、この子があまりになじんでいるので、どうやってバイバイしたらいいんだろ??と思い始めた。
改札を出て、東急に寄るからあっちに行くね、って言ったら
「こっちから行ったほうが近いよ」と、自分の行く道の方に行かせようとするw
どうやら彼女は自分が通うプールに着くまで一緒にいたかったようだが、残念ながらわたしは急いでいたのと、荷物が重かったので、わたしも長谷駅だからまた会えるよ!と言うと
「長谷住み?」
と念押しされて、うなずいてバイバイした。
あらゆる意味で、めちゃくちゃジワジワした5分の旅だったw
バイバイしてから、
鎌倉市の不審者情報メールで、「知らないおじさんに話しかけられた」みたいな、
それ不審者かよ?と思うようなどーでもいい情報ばっか送られてくるやつがあるんだけど、
「知らない子供に話しかけられた。お別れを渋られた」ってのはそう言えばないよなあ、、、、と思ったらさらにウケた。
この、ヒトや生き物に垣根を持たない感じとか、でも誰にでも心を開くわけじゃない感じとか、俺にはわかる。
わかりすぎるぐらいわかる。
ああ、この子が、どうかこのまま育って欲しい。嫌な目に遭わないで欲しい。この子にしかないものが、潰されないで欲しい。
そのためには、、、、、と考えて
学校なんかに行かないでほしい!
って心から思った。