戦後史として見た『地獄に堕ちるわよ』

GW後半はりーかお農園の助っ人としてお友だちが来てくれ、昼は果てしない庭作業、そして夜はNetflix『地獄に堕ちるわよ』を2晩に渡ってイッキ見してしまったよw

めちゃめちゃ面白かった。し、細木数子を通して語られる「戦後史の総括」なんだなとも思ったよ。

どーでもいいけどこれ、

細木数子というよりレンホーにしか見えないw

たぶんねー、このドラマは細木数子が実際どんな人物だったかを知っている人と、ほとんど知らない人とでは、見ていておもしろさが全然違うんだろうなぁと思うよ。

あらかじめ言っておくけど、細木数子は嫌いだよ。理由はただ一つ、下品だから。

下品な人がわたしは嫌い。

この人の本当の顔はヤクザじゃん、てことは知ってた。恫喝まがいの「占い=霊感商法」、島倉千代子を操り人形にして利益は横取り。ボケてしまった安岡正篤をたぶらかして婚姻にこぎつけてたっていう事実を知った時にはひっくり返ったものだが、むしろ安岡正篤のような人物(日本の黒幕の中の黒幕みたいな大御所中の大御所だよ?)でさえ、ボケてはあんな女に手玉に取られるのか!という事実の方が、何かを物語っているようで興味深い。

→ちなみに安岡正篤wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%B2%A1%E6%AD%A3%E7%AF%A4

で、わたしには作品としてめっちゃめちゃおもしろかった。

ドラマは敗戦後の焼け野原と化した東京、というシーンから始まっていくわけだが、原爆投下から始まる『仁義なき戦い』と同じ構造だと思った。

食べるものなくて、お金もなくて、「今日1日を生きる」が最大のテーマだった時代に、「嘘をついてでもお金を手にした者が勝ち!」っていう人生観を確立したリトル数子。

悲惨な社会環境から生まれたその人生観はやがて彼女の強固な哲学になっていくわけで、どんなに屈辱を喫しても、こっぴどい目に遭わされても、普通の人なら発狂するか死んじゃってもおかしくないような憂き目にあっても、泣き言言うどころか必ず立ち上がって這い上がる度胸と商才、また達成するための努力に、正直好感しか持てなかった。

全9話のうち7話まで、おそらく見ている誰もが「数子がんばれ!」って思ったはずだよ。制作側はそういう狙いで作ったと思うよ。

あんまりにもそんな調子だから、おいおいおいおい、これじゃ安岡正篤の話はナシかよ〜?ってずっと思いながら見ていたんだけど、7話あたりから展開してくるんだよね。

そこでその極悪非道ぶりというか、「強欲な女ヤクザ」としての実像があぶり出されて、おそらく彼女を知らずに応援モードに入っていた視聴者は「・・・・・・・。(絶句)」てなるんだろう。

最後の最後、エンドロール近くなって、テレビ業界から干された後の話が語られるんだけど、妹の子供を養女に迎えて後継者とし、最後は家族に囲まれおだやかに人生を終えた、と紹介されて終わるの。

この典型的なハッピーエバーアフターみたいな最期に、彼女を嫌う人はむしろ「最後は地獄に堕ちました」を期待していたはずだから「面白くない」と思うかも。

でもさー、あーゆー人はむしろ天国に行くのでは?だって、やりたいことの限りをやって、後悔ないって言い切ったんだもん。わたしは「ああ、よかったじゃん」て思ったんだよね。人生に何も後悔なくて、最後幸せだったならよかったじゃん、て。

なんかさー、悪党もあそこまで行けば痛快!と思ったし、同時に、人はみんなそれぞれ劇をやっているに過ぎないってやっぱり思ったよ。

転んでもただ起きない悪党というお役の彼女は憎まれもしたし、慕われもした。アゲられ、担がれ、利用価値なくなり落とされたけど、意に介さなかった。

ピュアというか、天然を絵に描いたような島倉千代子は騙され、踏みつけられたけど、そういうサゲがあったからこそ「人生いろいろ」みたいな歌ができたし、大衆も応援した。もし細木に騙しこまれることなく歌っていたら、どこかでポシャってしまったのではないか?後半生でのカムバックはある意味「サゲ」のおかげでもあった。

占いで騙されて、数千万の墓石買っちゃった老婆は、借金は残ったけど希望を捨てていない。だって「細木先生にいつか報われるって言ってもらえたんだから」。

それで、

人生って、自分は被害者だ、と思ってる人は被害者だし、加害者だと思ってりゃ加害者だし、自分は幸せだ、と思ってる人は幸せってだけのことなんじゃないかなって、やっぱり思うんだよね。

わたしのバーイ特に、善悪とかについて論じるのは本当どうでもいいって気になっちゃったから、「こんな悪どい女だったんですね」みたいな感想はには到底ならず、

彼女は「お金」の敬虔な信者で、お金のためなら命がけで何でもやった、というだけなんだわとしか思えない。それに、やっぱりどこか人を惹きつけるものがあったんだろうね。

で、お金という宗教はワールドワイドで、皆さん敬虔な信者だけど、実際に腹くくって命をかけられるかどうかは別なんだよ。

「人の弱みに付け込んで金をむしり取る」って、どっかの国が弱い国々に対してやっていることと何が変わるんだろうか。それを個人でやったから「悪人」で、どっかの国みたいに規模がバカでかいと誰も気づかないってだけのことでしょ。

まあ、そんな風な彼女の生きざまも、結局、敗戦の焼け野原が原点であるかのように見せかけてるけど、わたしは違うと思った。

焼け野原は彼女の「才能」を発芽させるトリガーだったというだけで、時代がどうあれ、「そもそもあーゆー人」なんだろうと思った。

また、あれと同じ匂いがする人たちの例としてデヴィ夫人、野村沙知代、小池百合子なんかが思い浮かぶ。

いずれにせよ、

焼け野原でミミズ食って飢えをしのいだ敗戦後から、街に娯楽の灯がともり、人々が浮かれ、暗躍する闇の稼業が存在し、同時にその裏では「幸せになりたい」という願望を抱えた悩める人々がいて、、、という戦後史に対するレクイエムのような気もしたよ。

主演の女優さん、戸田ナントカさん、若い頃は清楚な頑張り屋さん、オバハンになってからはヤクザ丸出し!という経年変化を演じきっていたよ。でも、プロなら太って演らないとね。

・・・・・・ツーわけで、非常に良い作品だったと思うけど、みんなはどう?見てみてね!

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