KAORISSIMA by メッセージを伝えるアクセサリー

by KAORI OSANAI

夢は夜ひらくシリーズの裏に(1)

「夢は夜ひらく」グッズのリリースと共に小出しにしてやろうと思っていた感動秘話だけど

いつ出せるかわからない上に、わたしのメモリ機能がやばいことを考えると、もったいぶらないで早く書けよ!と俺2号の声がする。

そうよね、確かにそうよ。

だからこの話を始めます。

 

 

イカという人物がいます。わたしにとっては若い友達。

数年前までスポット的に在籍していた小さな会社に、その子はいた。

当初は何やら辛そうな印象だったが、次第に振動数を上げていき、退職と共に自分の道を模索開始して、今では結構いい感じだ。

若い友達というのはありがたいもので、このオバハンに若い子の事情や心象風景を知らせてくれるだけで価値があると思っている。

それに、伸びしろのある人の成長を見ることって、実に気分のいいものだ。

そんで、ときどきメシに行ったりしているわけです。

 

 

会社でオフィスの移転をし、内装工事をするときに、電気設備の仕事をしていたイカ父に仕事を頼みました。

娘が働く会社の仕事を丁寧にする姿が、なんだかとても素敵に見え、かっこいい。

同時に体力勝負の、また危険な現場もあるだろうに、なかなか厳しい仕事なのだろうなあ、、、と敬意を持ちました。

飄々とした風情の彼は、しかし、わたしの父に先立つこと1年、病によって召されてしまいました。

発覚したときには、すでに時遅しの状況だったようで、イカは「父親の人生とはなんだったんだろう。田舎から上京し、働き詰めて、さしたる楽しみもなかったのではないか・・・」というように思いを巡らせていました。

お父さんは、果たしてこれで良かったと満足しているのだろうかと。

それを聞いて、胸が詰まった。「父を思う娘の気持ち」が美しく尊いと思ったから。

でもね、それは立派な昭和の父親像です。

もてる生命のほぼ全てを、家庭を養うために投入した。

わたしたちは、だいたい大なり小なり、「そんな昭和の父」の恩恵を受けて、今ここに生きています。

それはそういう時代の申し合わせだった。

だから、父の人生を讃え、拍手喝采で送らなければいけません。立派にやり遂げた男のことを。

 

イカのお父さんが亡くなったと思ったら、わたしのオトーサンも病が発覚しました。

そんな折わたしは藤圭子に出会い、父の病院に行って父の魂の旅に付き合っているか、藤圭子を聴いているかの二択しかない日々を過ごしたことは、過去何度か書いています。

イカに「なう藤圭子がホットだよ」と言ったものの、彼女の世代では藤圭子を知りませんし、また彼女は宇多田を聴くような子ではありませんでした。

音楽の趣味は、イカはマニアックなのです。

 

さて、うちの父が亡くなった後だったと思いますが、

「NHKのど自慢」という、ダサさの極地のような番組が、鎌倉で開催されると聞きまして、

わたしは「コンフォートゾーン越え」でもあるし「出たろ!」と、本多理恵子と宮城景花という2人のバカとともにエントリーしました。

しかも歌うのは「アンコ椿は恋の花」と。

昭和世代に捧げます、と書いて送ったものの、受信料を払っていないわたしのせいか、まんまと落選し、クッソー!せっかく衣装も考えてたのによー!

という話に終わりました。

 

そして、わたしらが優勝するはずだった本番当日、「ダサ!」と思いつつも、初めて「のど自慢」を通しで見たというわたしは鎌倉市民。

知ってる顔が歌う姿を「ち!」という気持ちで見ておりましたところ、

実家で母親と、やはりのど自慢を見ているらしいイカからメッセージが来て

「やばい。お父さん、藤圭子の大ファンだったんだって!今初めてお母さんから聞いた!」と。

圭子さまが亡くなった時は、追悼番組を見て偲んでいたそうだ、と。

 

わたしちょっと心震えた。

以前、今ほど詳しくなっていなかった時に、「いったい誰が藤圭子を支持していたのだろう?」と疑問をブログに書きました。

でも、なんか、その謎が溶けて立体的になった気がした。

故郷から上京し、希望と辛さを胸に抱いて日々の仕事に邁進した人たちの、疲れた心を「あの声」が癒したんだな〜・・・・

と思ったら、ものすごくリアルに当時のこと、若き日のイカ父のことも、その場で見ているように想像ができました。

それでやっぱ歌ってすごいよな〜、歌い手って偉大だよなあ、と思ったのです。

そんな仕事は、誰にもできるものじゃない。

歌が上手い歌手はたくさんいても、人を本当に癒せる歌手は稀少です。だってそれは天から選ばれた人の仕事だから。

 

とにかく、「のど自慢」のおかげで、ひとまずイカとわたしの間に「藤圭子」が成り立ち、

イカとイカのお父さんの間に「藤圭子」が成り立ったわけです。

 

 

今日はここまで!

 

読んでくれてありがとう!

続くよ!

 

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