既知外の皆さま、本日は寒いですが無事に明けましたのでおめでとうございます。
キャロル・キングの1973年セントラルパークでの10万人(!)コンサートのライブ映画、これ見逃していたんだけど昨日逗子のミニミニシアター「シネマアミーゴ」での最終上映に間に合った!
https://www.carolekingthemovie.com/
ああ、もう本当に感慨無量としか言えない、今でも余韻が残っている。映画タイトルにもなっている曲「Home again」(「タペストリー」に入っている)を演る場面で涙が噴出して止まらなくなってしまった。
つねづね音楽とは、70年代がピークでそれ以降は燃えカスだという想いを強くしているわけだが、これを観てやっぱりその思いを確信した次第。人間が曲を書き、純粋な想いを詩に乗せて、人間が演奏し、それを届ける。受け止めるオーディエンスの純粋さ。人が、ちゃんと生きていた時代。
涙止まらなくなったのは、純粋に彼女のパフォーマンスが心の琴線を揺らし続けたことの他に、「何もかもが遠くに過ぎ去ってしまった」と感じて、去っていった時代の背中を見つめる気持ちと、多感な頃に良い音楽をたくさん体験できた自分自身のなんと幸福だったことか!という感慨などもあって、もうどうしようもなく涙がこぼれるままになっていたよ。
1台のピアノと声だけで、10万人(!)を前にするキャロルは、あくまでも自然体でどこにも衒ったところがない。70年代に特徴的な襟の大きい普段着で出てきて演奏し、熱唱し、笑みを絶やさない。途方もない才能と実力の他に、そのお人柄にも心を打たれた。
またこのコンサートはニューヨーク生まれの彼女が、LAに居を移して音楽家として大成功した後「故郷への恩返し」として無料で開催したもので、集まった観衆にすべての人種を見てとれる。
ああ、いつから人間はこういう純粋さを失ってしまったのだろう。。。。
キャロル・キングってアメリカの国民的歌手だけど、全世界で「タペストリー」を所持していない世帯ってあるのかな?(ないだろう)って思った。
わたしにとっては、父が買ったLPと、世の中にCDが出るようになってやっぱり父が買ったCDがまだここにある。
イタリアに住んでいた頃、同時期にローマにいたわたしより一回りぐらい若い、やはり鎌倉出身の友達が、「次の荷物にキャロル・キング入れて!」って親に言ったら、届いた荷物にはCDケースしか入ってなかった。CDそのものは家のプレイヤーの中だった!という笑えるエピソードは忘れられない。それぐらい時代を超えて全世界で愛されているアルバムと言ったら「タペストリー」の他に何がある?(ないだろう)いや、絶対にないだろう。
キャロルを観て心震えたので、今日はお家でリンダ・ロンシュタットのドキュメンタリー映画を観てしまった。できれば劇場で観たかったやつだが、公開されたことを当時は知らなかった。今はAmazonプライムで観れる。
全世界でいちばん歌が上手いのは藤圭子だと思っていたけれど、たぶんそれはリンダ・ロンシュタットなんだろうと思うに至った。彼女はカントリーも、ロックも、ジャズも、スタンダードも、メキシコ民謡も、そしてオペラ(!)も歌える。おそらくその気になれば演歌も歌えたのだろう。
残念ながらリンダはパーキンソン病にやられてしまい、今はお家で静かな暮らしをしているようだが、何の悔いもないことが見てとれる。素敵だ。本当に素敵だ。
こういう才能があまたいる点ではアメリカは素直に羨ましいと思う。
タイムマシンがあるのなら、間違いなくわたしは70年代に行って、世界各地のライブを観て回りたい。考えただけでワクワクする。当然、藤圭子も生で観る。
あ、ゆったり良い音楽を聴きながら、どんどん製作をしました。幸せな時間です。