もはや東京ではなくなってしまった東京の街を横切りながら、ふと、こんなことが頭によぎった。
ミラノから戻って中央区に暮らした数年の間、わたしはいつまでも長らくミラノが恋しかった。
そんな郷愁がなくなった頃、中央区から品川区に移ったら、中央区がたまらなく恋しくなった。
都内から鎌倉に戻ったら、東京は恋しい場所なんかではなくなった。
ここは自分の町だから、東京に向かうのは憂鬱で、出た瞬間早く帰りたくなる。
帰りの電車が大船を過ぎると空気が変わり、ホッとする。
今もそうかと鑑みて、それすらすでにないのではないかと、ふと思った。
2年前まで、フランスに行けばリフレッシュできた。
今以降、例え渡航が可能になろうとも、
多分そんな感覚を、わたしは二度と持つことはないだろうと、なんだか妙に確信している。
つまりわたしは、わたしの中から、決定的に何かが失われてしまったことに気づいていて、
一言で言えば、要するに「もう嫌だ」という言葉でしかない。
そう、つまりもう、嫌なんだなあ、、、
この先、この空虚、イタリア語で
GRANDE VUOTO
といったこの感じ、
これが埋まるとは思えない。
などと思いながら帰ってきたら、
雨音の隙間に、ピコーン!とメッセンジャーが鳴り、
ブラジルからだった。
ブラジル。
実は誰にも言っていないけど、
あるところからの司令で、ブラジルに緑のグリッドを置けと。
そのため、緑のグリッド、前々から構想にあった「森」あるいは「巨木」をテーマにした緑のシリーズを急遽試作し、
一人ひそかにブラジルに展開したりしていた。
売買され、搾取され続けた人々、
蹂躙され続ける、元いた人々、
国を捨て、逃げるように新天地を求めた人々、
国に騙され、棄民された人々、、、、、
この人たちに少しでも、安堵が訪れますように、、、、、
でも当然、このブラジルからのコールは、
そんなことは知る由もなく、
「グリッドを増やしたい」というオーダー。
ああ、この森のグリッドは、ブラジルに行くんだな。。。
と瞬時に理解して、予期せぬ偶然に
しみじみと心震えた。
一度繋がった糸は、そんな風にできている。
そんなものなんだなあと思ったら涙が出た。
司令の主はすごいなあ。
こんな気持ちは自分以外わからない。
わかる〜などと言ってもらいたくもなし。
はーーーーーーーーー
しかし。
サンパウロで藤圭子流れるうどん屋をやる計画は
見事に消し去られたな。
メタクソ流行る予定だったのに!
ていうかアレよ、はっきり言って
みんな
♪バカだな
バカだな!
だまされちゃあああああってえええええええええええええ♪
ほなまた